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チェリーアベニュー動物病院

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歯の破折について

動物の場合さまざまな原因で歯が折れてしまうことがあります。これを破折といいます。歯は切歯、犬歯、前臼歯、臼歯に分類されそれぞれ固有の働きを持っています。切歯および犬歯は物をつかむ、運ぶといったいわば人間の手のような役割りを持っています。もちろん攻撃のときの武器にもなります。前臼歯と臼歯は食物を切り裂きまたすりつぶす(犬の場合)働きをします。こうした1本1本特有の機能を持った歯のどれが折れてしまっても動物の生活の質に影響を及ぼすことは明らかです。

動物にも人間と同じように噛み癖というものが存在します。つまり口の中のどの歯を好んで多く使うかということです。もちろん歯になんらかの病気があった場合、痛くない歯だけを使って物を食べることもあります。しかし動物によっては歯科的に健康な状態でも特定の歯だけを使う傾向がみられます。

たとえばシェルティーなどでは切歯、犬歯で物を噛む癖のある子が多いようです。このような犬種ではしばしば切歯、犬歯でフェンス、石、木材などを噛んで歯を折ることがあります。

またウエルシュコーギー、ダックスフンドなどの犬種は奥歯、とくに上顎の第4前臼歯と下顎の第1臼歯を使って硬いものを噛むのが大好きな子が多く、しばしばこれらの歯の破折を見ます。

フリスビーやテニスボールなどをキャッチする際に歯を折ってしまう犬も見受けられますのでこうした遊びをする時にも注意が必要です。

治療

1.破折がエナメル質、象牙質の一部のみで歯髄が露出していない場合

象牙質には象牙細管という非常に微細な管が無数に存在します。もちろんこれは肉眼では見ることはできませんが、細菌が充分通過できる大きさをもっています。つまりエナメル質が剥がれてしまって象牙質が露出してしまうと常に細菌が歯の内部に侵入する環境ができることになります。これを防ぐためにコンポジットレジンという物質を用いて象牙細管のシーリング(被覆)を行います。また必要に応じて歯冠の修復を行います。

2.歯髄が露出している場合

a.1歳未満の動物で歯折してから2週間以内のもの。
こうした若い動物の場合、歯髄腔の内部におこる象牙質の沈着が未だ少なく歯髄腔が広い状態にあります。すなわち物理的に象牙質のすくない脆い歯ということがいえます。このような歯に象牙質を沈着させ丈夫な成熟した歯にするために歯髄を生きた健康な状態に保つ生活歯髄切断術という手術をします。

14歳の猫の上顎のレントゲン写真

14歳の猫の上顎のレントゲン写真
むかって右側の歯の先端部分が破折しています。歯髄腔が左側の歯と比べて広くなっているのがわかると思います。
この猫の場合かなり若い時に破折がおこったようです。

b.1歳以上の動物、あるいは破折してから2週間以上経ってしまっているもの。
歯内療法または抜歯が適応になります。犬歯や上顎の第4前臼歯、下顎の第1臼歯など動物にとって大事な歯はなるべく歯内療法によって保存するようこころがけます。ただし破折のラインが歯肉縁を超えて歯根部に及んでいるものは抜歯しなければなりません。また上顎の第4前臼歯の場合大きな容積が破折によって失われてしまうことが多く、歯内療法によって歯そのものを保存できても歯の一部が失われた隙間から食物や細菌が深部に侵入し歯周疾患をおこしてしまいます。このような例では初めから抜歯をしたほうがいいでしょう。

  • 左上顎第4前臼歯の破折

    左上顎第4前臼歯の破折

  • この歯を歯内療法で治療した写真

    この歯を歯内療法で治療した写真

  • 右上顎第4前臼歯の破折

    右上顎第4前臼歯の破折

  • 歯周疾患

    この時点ではレントゲン上では大きな
    異常はみられませんが抜歯しなければなりません。

3.乳歯の破折

乳歯は永久歯に比べてやわらかく、わずかな外力で折れてしまうことがあります。しばしばみられるのは活発な子犬がタオルやロープなどで遊んでいるときに人間が引っ張りっこをして折ってしまうというものです。乳歯にも永久歯と同じように内部に歯髄が存在します。この歯髄が露出すると細菌がこれを通って侵入し、歯根部に感染をおこします。乳歯の破折で問題になるのはこの歯根部に永久歯の胎児のような存在の歯胚があるということです。乳歯の歯根部におこった細菌j感染はこの歯胚に影響を及ぼしエナメル質形成不全などの病変につながります。乳歯が折れてしまったらなるべく早く抜歯します。